島流し・鬼退治 三日目

南東の風まで起こすとは…恐ろしい子!


調査も大詰め、三日目です。
佐渡に来てからこっち、やっていることと言えばドジョウを取っては大きさを計り、調査写真を撮っているだけです(当たり前)。せっかく別の土地に来たのだからと、朝早起きして近くの牛尾神社に行ってきました。
牛尾神社は佐渡島中部の新穂地区に位置し、かなり敷地面積が広い規模の大きな神社です。この神社にある能舞台は数ある佐渡能舞台の中でも特に大きい三つに入るそうで、なるほど観覧広場も含めてしっかりした造りになっています。舞台袖の部分は直接社務所に通じていました。橋懸*1の傾斜も深く、一度はこんなところで演じてみたかったなぁと感じました。ただひとつ残念なのは舞台に戸がかかっており、内部が覗けなかったことです。機会があったら是非とも実際に演じているところを見てみたいなぁ。


話が反れました。
本日の調査は、前日までのものと一味違います。筌を使った受動的な採捕ではなく、一定区間を仕切って全量採捕を行い、CPUEを求めようというものです。
CPUEとは「単位努力量あたりの捕獲量」を示す値で、時間・区間・捕獲に要した努力量(人数など)を統一したうえで採捕した数量(重量)を計測し算出します。今回の調査では、ある水路の一定区間(5m)を2人で10分間タモ網を使って採捕し、取れた魚類の数と総重量を計測しました。念のためドジョウに限り各個体の重量も計測しました。
全量採捕では、ドジョウ、シマヨシノボリ、トウヨシノボリの他、フナ、メダカ、バラタナゴ、そしてところによりブラックバスが採捕されました。
一日中採捕を続けていたので、心地よい疲れが残りました。


昼頃に一旦場所を移動し、佐渡トキセンター(http://www4.ocn.ne.jp/~ibis/)へと見学にゆきました。個人的にはトキそのものに思い入れはないのですが、日本書紀にはトキのことを「桃花鳥」と表記し、「つき」と読ませていたという資料に目が留まりました。現在の「朱鷺」という表記はいつ頃から使われ始めたのでしょうか?*2


夕方、長江川と加茂湖の合流部付近に筌を仕掛けにゆきました。
通常ならばひとつのみを仕掛けるのですが、「せっかくだからたくさんやってみようぜ!」というノリの元、用意していた筌、全22個を一度に仕掛けるという暴挙に出ることになりました。もちろんただ仕掛けるだけではつまらないので、向きや仕掛ける位置を流形や周辺の環境によって変えてみたり、同じ場所にいくつか仕掛けてみたりもしました。
ちなみに目玉は、かの赤壁の戦いで呉の周瑜が講じた*3という連環の計をドジョウ筌に適用した、その名も連環筌です(そのまんま)。むしろ水滸伝呼延灼が使った連環馬のほうが近いような気がします。
加えてもうひとつ、芝漬けという漁法を試してみました。芝漬けとはヨモギやヤナギなどの枝を束ねて水中に浸し、一晩置いておくと魚が捕れるという夢のような漁法です。断じて食物ではありません。子供向けアウトドアの名著、『冒険図鑑―野外で生活するために (Do!図鑑シリーズ)』にも載っています。流速の早いところに草を沈めておくことで、早い流れを嫌う魚(主にドジョウやウナギ、エビ)などが草の束に入り込むという習性を利用しているのです。楽しみ楽しみ。



夜は恒例だという焼肉大会が牛角で開催されました。外食で焼肉を食べることなどほとんどない貧乏性の僕ですが、せっかくの機会なので遠慮はしないでおこうと思い、初盤からトバしてゆきました。僕は燃費が悪く、白米をもの凄くたくさん食べるタイプの人間なのです*4。しばらく後に伝票を覗いた僕は動きが止まり、その後は残ったコゲめをつついていましたとさ。

*1:はしがかり。能舞台の向かって左側に伸びる、欄干つきの通路。演者はここを通って入場・退場を行い、橋懸自体も舞台として活用される。また橋懸を通ることでこれ自体も時間の経過・場所の移動の表現として使われることがある。その他、主に狂言において、時間の経過・場所の移動は舞台を一周することでも表現される。

*2:さだまさしさんの曲に「桃花鳥」というのがあるそうです。知らなんだ。

*3:実際に連環を講じたのはホウ統になるのですか?

*4:通常時:夕飯に2合。空腹時は3合を上回ることもある。