という訳で資料を抜粋。

砂防ダム下におけるサクラマスの産卵床について(仮)

1.はじめに
山形県の県魚であるサクラマスは、河川の上流部で生まれ、成長後降海した後に生まれた川へと還ってくる「母川回帰」と呼ばれる習性があることで知られている。

山形県をはじめ日本各地に生息しているサクラマスについては多くの研究事例がある。こと北海道では、札幌で1979年に始まったカムバック・サーモン運動の影響もあり、サケ科魚類についての研究が国内でも進んでいると言える。(1

産卵期である9月から11月、サクラマスが産卵のためにつくる産卵床についても多くの研究がなされている。自然河川で産卵床がつくられる大きな要因として、特に砂礫などの河床材料組成の影響が強いことが知られている。
本研究では、山形県赤川源流のうち、砂防ダムの影響下にある早田川をフィールドとすることで、産卵床をつくる際に与えられる影響を調査することを目的としている。


2.調査概要
 調査地は早田川と梵字川の合流部から早田川第一砂防ダムまでの区間とした。

2-1.調査方法
 過去のデータを参考に、産卵床として利用される可能性が高いと思われる地点を調査区間から数点抽出した。主に砂礫の粒度、水深、前後の流形などを総合したものを判断基準とし、実際に踏査して抽出地点を決定した。
 抽出地点の河床から砂礫を採取し、粒度分析を行う。砂礫は50cm×50cmのサーバーネット(目合0.5mm)を用い、トタン製の仕切りで25cm×25cm×10cmを採取する。(2
 また、調査地点(可能であれば調査区域)の測量を行い、水面幅を図に起こす。(3


3.分析方法
 採取した砂礫はふるいを用いて粒度分析を行い、重量百分率を算出して比較する。

4.結果
 8月11日の調査結果(調査区間踏査・各淵の長さ、距離等を計測)


(1 卜部,村上,中津川,サクラマスの産卵環境特性の評価,2004
(2 過去の文献より、サクラマスの産卵床の深さの平均が6.3cm(±3.7)であったことから決定した。最大深さは16cmであったが、砂防ダム流下である調査地の条件を考慮し、砂礫を採取する深さを10cmと定めた。
(3 大雨で流れに変化があることが予測されるので、もう一度踏査する必要があると思われる。


サクラマスという魚について&サクラマスが産卵床をつくる条件のまとめ

サクラマス
Oncorhynchus masou (Brevoort, 1856)
北海道近海から東北地方、日本海に分布する。サツキマス(アマゴ)との分布の境は、日本海側では山口県、太平洋側では千葉県と言われている。国外では千島列島、サハリン、カムチャツカ半島の南部、オホーツク海沿海州朝鮮半島の沿岸にも分布する。サケ属の中ではニジマスを除くと分布は最も狭い。
基本的には降海型で、一生を海に降らず過ごす個体を総称して陸封型(ヤマメ)と呼ぶ。特殊な例として、湖を海の代わりとして成長する湖沼型もいる。
シロザケやカラフトマスと比べ、河川の最上流部、場合によっては支流部にまで遡上し産卵を行う。
孵化後一年間を河川で過ごし、降海して一年回遊した後、生まれた川へと遡上を始める(母川回帰)。

産卵床の条件
・場所……河川水の浸透する砂礫底の、淵から瀬に移る地点
・水深……10~40cm(体高程度の水深があれば産卵は可能)
・流速……平均30cm/s
・水温……8℃前後(孵化まで約55日間)
・河床材料……産卵する個体の体長にも左右されるが、一般的に直径1cm〜5cm程度の大きさの地点を選ぶ
・河床間隙水……受精卵への酸素の供給及び老廃物(アンモニア)の除去などの理由から、非常に重要な要素だと言える



こんな感じ。これに淵の数値データを添付です。

反省点を羅列しようのコーナー

・「はじめに」の記述で、砂防ダムに関する論文である理由の書き込みが足りない。「なぜ」砂防ダムという調査地上の特徴を選択する必要があったのかということを書く。
・参考にした論文の調査地であるメップ川と早田川に大きな違いがある場合、産卵床にも異なる条件が適用される可能性がある。特に川幅・水床部護岸の有無を確認すること。
・縦断面形状の測量の方法について(後日詳細を記入)。レベル・トランシット測量を!
・やっぱり勾配が大事だよねぇ。