で、だ。
また馬鹿のひとつ覚えのように徹夜をしている僕です。
朝5時過ぎ、同じように徹夜をしていた隣の研究室のS夫*1が顔を出しました。
「じゃ、俺帰るから」
「――ん。あ、でも朝焼けきれいみたいだよ、今日(窓の外を見ながら)」
「マジか、よしじゃあ見に行こうぜ!」
という訳で屋上に向かった僕らでしたが、その前に現れたのは、僕らよりもひとつ上の階に居を構えるGちゃん*2でした。聞けばやはり「天気がいいから」屋上に出てきたそうで、3人揃って5階から階段を登ったところにある屋上の更に上、棟の一番高いところへと上がりました。
ほぼ360℃パノラマのこの場所は、赤川花火大会のときなどに格好の観覧場所となります。今日は文字通り雲ひとつない空でした。南東の方角には鳥海山が、刻一刻とグラデーションの割合を変えてゆく西には啓明寮が*3。西の空にはさらに、遠い山際から町を覆うように朝霧が広がっていました。真上のまだ蒼い空には下弦の半月が。北には時間が経つにつれ凹凸がはっきりする高館山が。とても全てを言葉で言い表すことなどできません。
「これはもう神のやることやんなぁ」
今まで数々の山の朝を見てきたであろうGちゃんがぽつりと口にします。僕は黙って頷きました。
待ちに待った日の出の瞬間、僕はなんとも言えない気持ちで一杯になりました。
「これで今日も頑張れる」
S夫はそう言いました。僕もそう思いました。そして、なぜ初日の出を拝むのか、その理由がなんとなく分かったような気がしました。
今日も一日が始まります。一日中室内に閉じこもることが約束された一日が*4。